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広島大学大学院 先進理工系科学研究科 化学プログラム

柘植グループの研究紹介

宇宙化学と極低温反応

星や惑星が形成される星間分子雲には、氷に覆われた微粒子(星間塵)が存在しています。 その表面では極低温にもかかわらず化学反応が進行し、水、アルコール、アミンなど様々な分子が形成されます。 柘植グループでは、超高真空・極低温環境を実験室内に再現し、 星間氷表面における分子生成機構を原子・分子レベルで解明する研究を行っています。
(2026年4月に出来たばかりのグループです)

Keywords: 宇宙化学、低温物理化学、表面反応、 ラジカル反応、赤外分光、マトリックス単離法、量子化学計算

AccChemRes ProcJpnAcadSerB

Reviews

学生募集中

卒業研究生および大学院生を募集しています。 研究室見学は随時歓迎します。 詳細は本ページ下部の「学生募集」をご覧ください。

星間塵表面での分子生成機構

星間塵を覆う氷表面では、原子やラジカルの拡散により様々な分子が生成しています。 本研究では、吸着・拡散・反応・脱離という一連の素過程を実験的に研究し、 星間分子形成メカニズムの理解を目指しています。
近年では、星間空間における複雑有機分子形成の重要な反応中間体と考えられるOH、CH3、NH2などのラジカルに着目し、 拡散や反応を直接観測することでメタノールやメチルアミン形成機構を考察しました。

Representative Publications

氷表面における炭素原子化学

炭素は有機分子形成における最も重要な元素の一つです。 本グループでは、極低温の氷表面上で炭素原子が拡散し反応できることを実証しました。 この成果は宇宙空間における有機分子形成モデルに新しい視点を与えています。
氷表面に吸着した炭素原子のなかには、弱く結合した拡散できるもの、及び、強く結合し動けないものがあります。 氷表面での水素原子との反応を追跡すると、前者のみがメタン生成(C + 4H → CH4)に寄与することが明らかとなりました。 この知見により、天文観測により報告されるメタン存在量が、反応ネットワークシミュレーションによって再現されると期待されます。

炭素原子拡散 炭素原子源@低温研

Representative Publications

北海道大学プレスリリース「氷上を動き回る炭素原子」

水素の量子効果と宇宙化学

極低温環境では、水素原子の量子トンネル効果や核スピン状態が 化学反応に大きな影響を与えます。 本研究では、水素原子の移動、オルト・パラ変換、 氷内部への侵入反応などを研究しています。

Representative Publications 解説

プレスリリース「星間ダスト表面における H2 オルソ・パラ転換効率の評価」

パラ水素マトリックス分光

固体パラ水素は極めて弱い分子間相互作用を持つため、 不安定分子や反応中間体を高分解能で観測できる理想的なマトリックスです(極低温の固体パラ水素内に分子を閉じ込める方法)。 また、水素分子の反応性を活かすことで、これまでは難しかったラジカル・イオン種を効率的に生成させることができます。
分光研究誌に掲載された解説
最近では、Y.P. Lee教授(台湾、国立陽明交通大学)との共同研究として、宇宙空間に存在しうる芳香族分子の研究も進めています。

PCCP-Perspective pH2 apparatus YPLee Group

Representative Publications

貴ガス水素化物(noble-gas hydrides)

一般に化学的に不活性と考えられている希ガス(貴ガス)元素(Ng)も、 極低温環境では水素と結合した特殊な化学種 「貴ガス水素化物(HNgY)」を形成します。 柘植はヘルシンキ大学(University of Helsinki, Finland)の Prof. Markku Räsänen研究室において、 貴ガス水素化物の構造、安定性、分子間相互作用を 実験および理論の両面から研究しました。 これらの研究は、希ガス化学および極低温分子科学の発展に 貢献するとともに、極低温環境における反応性や 分子間相互作用の理解に重要な知見を与えています。 最近では理論化学の研究グループと共同で、HNgYの熱的安定性についての研究を進めています。

HXeBr

HXeCl--H2O

Representative Publications

実験装置の紹介(準備中)

研究室では宇宙空間を模擬する超高真空・極低温実験装置を開発しています。 赤外分光法を中心に、氷表面反応のその場観測を行います。
(画像準備中)

学生募集

宇宙空間ではどのような化学反応が起こっているのか。 極低温の氷表面では、なぜ分子が生成できるのか。 柘植グループでは、星間塵を覆う氷表面で進行する化学反応を実験室で再現し、 宇宙における分子形成機構の解明を目指しています。

研究では、 極低温実験、超高真空技術、赤外分光法、表面化学、宇宙化学など、 化学・物理・天文学の境界領域に関する研究手法を学ぶことができます。 また、新規実験装置の設計・製作にも積極的に取り組んでいます。

卒業研究生および大学院生を歓迎します。 研究室見学や研究相談は随時受け付けていますので、 興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
柘植 mtsuge [at] hiroshima-u.ac.jp

共同研究